会長挨拶

 日本ブリーフサイコセラピー学会のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

 第10期会長を拝命いたしました、法澤直子と申します。

 私が初めてブリーフサイコセラピーに出会ったのは、大学院で臨床心理学を学び始めた頃です。大学院に赴任したてでまだあまり忙しくなさそうだから、という理由でとある先生にSVをお願いし、その先生の面談に継続的に同席させていただく機会を得ました。面談を重ねるごとにクライエントがどんどん変化していく姿を目の当たりにし、当時学生だった私は今ここで何が起きているのかの理解が追い付かない経験を繰り返しました。毎回面談後に、なぜあのタイミングであの質問をしたのか、クライエントの反応のどこを見て何を判断したのか、そういったセラピスト側の意図を解説していただき、目からうろこが落ちる経験をこれまた繰り返すことになります。のちにそれがシステムズアプローチやエリクソン催眠をベースにしているということを知り、効果や効率を謳うそれらを志向する臨床家が集まるのがブリーフサイコセラピー学会であることを知りました。このように、すごいと感じたものがたまたまブリーフだったという事実に導かれ、私はこの世界に身を置いています。10期という節目にこのような大きなお役目をいただいたことにもご縁を感じます。自分一人でできることは限られていますので、会員の皆様のお力をお借りしながら3年間の任期を全うしたいと考えております。

 本学会の現在の会員数は約740人です。今期は39名の理事で7つの委員会(事務局、倫理会則、研修、広報、編集、WEB、学術渉外)を運営していきます。本学会には「ブリーフサイコセラピー研究」という学会誌、また会員向けのニューズレターがあります。また臨床力を上げ、交流を促進する機会として、ブリーフサイコセラピーセミナーや、地方研修会、年次大会を開催しています。さらに学会賞や宮田研究奨励賞など、本学会の活動に多大な貢献をした者や、奨励に値する優れた研究をおこなった者を表彰する制度もあります。2020年には「ブリーフセラピー入門」、2022年には「臨床力アップのコツ」という書籍を本学会より刊行いたしました。今期もそれぞれの委員長(常任理事)を中心に、委員会活動のさらなる活性化を目指す所存です。

 近年は、公認心理師の資格を取得して心理職としてのキャリアをスタートさせた方の入会も増えてきました。本学会には心理の専門職だけでなく、医療や福祉、教育など様々な領域の対人援助職の方が所属しております。ブリーフサイコセラピーは現場の実践でどのように役に立つのか、それがどのような社会貢献につながるのか、このあたりについても考えを深めていきたいと思っております。

 最後になりますが、皆様方のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

日本ブリーフサイコセラピー学会第10期会長 法澤直子
(2023年4月16日)


top▲